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ピンクリボンとともに疾走る! (2015年北海道マラソン)~実行委員長のRun & Riding日記~

かなざわピンクリボンプロジェクト実行委員長の吉野です。
2015年8月30日、ピンクリボンを身にまとって北海道マラソン(略して道マラ)を走ってきました。実は昨年も道マラに出走したのですが、右足首の故障でまともに練習できてない中でのレースでした。案の定、18km付近で右足首が悲鳴を上げ無念のリタイア…悔しい思いが残った大会となってしまいました。
今年は足の具合も落ち着いており、4月に行われた加賀温泉郷マラソンではあの増田明美さんもビックリしたアップダウンの激しいコースを、3時間21分の自己ベストでゴール。これに気を良くして、6月の坂井市古城マラソンではハーフの自己ベストを更新(1時間29分20秒)。4月~8月はしっかりと走りこむことができ、月間走行距離は約150km前後に及びました。道マラは夏の大会なので暑さ対策も必要と考え、7月後半には気温30℃越えの酷暑の中、熱中症寸前になりながら昼間に30km走なんかもやりました。
とうことで、ある程度の自信を持って臨んだ今年の道マラ。目標は3時間20分(このタイムで走ることができれば自己ベスト、でも密かな目標は3時間15分…)に設定。1km4分40秒のペースを最後まで保つことができれば達成できます。作戦は、最初の10kmはゆっくりと1km4分45~50秒で入り、10km過ぎから設定ペースの1km4分40秒に上げて30kmまで維持。30km過ぎから1km4分30~35秒にペースアップ、余力があれば35km過ぎで1km4分20秒まで上げるという虫の良いもの。レース中の水分や電解質の補給は特に重要なので、エイドでは必ず水分を補給し、さらに5km毎に塩熱サプリを、20km過ぎからは10km毎にパワージェルを摂取する方針としました。このパワージェルは、僕が手術した患者さんからの差し入れ。彼女の乳がん克服への祈りと僕の昨年のリベンジへの思いがこもったパワージェルです。
前日8月29日(土)に札幌入りし、会場で受付をすませます。夕食は炭水化物中心の食事にしてもちろんアルコールは我慢…。レースに必要な物品を準備し23時に就寝。暑さを考慮して勝負ウエアは白のピンクリボンジャージにしました。
レース当日。朝5時30分に起床。ホテルの部屋のカーテンをあけると、朝陽がまぶしく輝いていました。この日の札幌は晴れ、最低気温は16℃・最高気温は26℃の予想、フルマラソンを走るには適当な気温ではありませんが、ここ数年の道マラの中ではまだマシなコンディションです。起床時の体重は54.5kg、自己ベストを出した4月の加賀温泉郷マラソン時に比べ3kgのダイエットに成功してました。こんなささいなことでもとっても気分が良くなります。6時半に朝食を済ませ、最後の準備を整えて7時30分に会場入り。荷物を預けて9時のスタート時刻を待ちます。すでに会場は人、人、人。ランナーや応援者でごった返しています。こんな人ごみの中じゃ知ってる人に会ってもわかんないだろうな~と思いながらブラブラしていたら、なんと、中学高校時代の同級生で現在は東京に住んでいるNさんとばったり。彼女が北海道マラソンを走るのは知っていたのですが、まさか本当に遭えるとは思ってもいませんでした。偶然の出会いに感謝しつつ記念写真を撮り、エールを交換してその場をわかれましたが、実はこのことがレース中に大きく影響することになります…
8時半、スタート地点に到着。もうそこにはたくさんのランナーが集まりスタート時刻を今か今かと待っています。その間にも日射しは少しずつ強くなってきたので、日陰を探して待機。道路わきに温度表示板があったのでふと見てみると19℃とのこと。お昼近くにはやはり25℃くらいになるんだろうな~と思いながら、ポケットの塩熱サプリのパワージェルのありかを確認しました。招待ランナーの紹介が一通り終わりいよいよスタートです。道路わきの温度表示板はこの数分の間に21℃になってました…「やっぱり暑いよな~」と思ってたらスタートのカウントダウンが始まり、ついで号砲が鳴りました。
スタート直後はもちろん大渋滞。この辺は織り込み済みなので、慌てず騒がずゆっくりと走りだします。無理に前の人を追い抜いたりしないようにして少しずつ設定ペースに上げていき、最初の1kmは5分20秒…。予想よりも時間がかかってややあせりましたが、「先は41kmもあるんだよ~」と自分に言い聞かせて、あわててオーバーぺースにならないように注意。次の1kmは4分40秒で走れたので、とりあえずこのペースで30kmまで行くことにします。作戦通り5km毎に塩熱サプリを口に入れ、給水ポイントではスポーツドリンクをしっかり飲むのはもちろんのこと、体温が上がり過ぎないように水をとって身体と足にかけることを怠りません。
10kmくらい走るとだいぶばらけてきて走りやすくなってきました。周りを見るとだいたい同じくらいの走力のランナーのようです。無駄なエネルギーを使わないよう周囲のペースに合わせて流れに乗って走ります。12km地点で予定通りソイジョイを1本摂取。フルマラソンの場合、こうやって何かを食べると何となく元気が出てくるような気がするのは不思議ですね。でも元気が出ても、まだまだレースは序盤、がんばりすぎないようにがんばろうとまたまた自分に言い聞かせます。
そうこうしているうちに18km付近に到着。交差点を左折したところにガストがあります。去年はこのガストの前で右足首が動かなくなってリタイアしたな~と感慨に浸りながら通過。この辺で自分の体調をチェック。「足首は全然痛くない。脚はやや疲れているようだがこのくらいなら問題なし。気温は思ったほど上がってこず、この感じなら熱中症にはならなさそう。1km4分40秒前後のペースであまり力を使わずに20kmまで来れた、調子いいじゃん!」と思わずニンマリ。気分が良くなると体も軽くなるのか、この辺では1km4分30秒前後にまでペースが上がってました。中間地点での通過タイムは1時間38分11秒、「お、3時間20分切りは楽勝じゃん、これからぺースアップすれば3時間15分も行ける!」なんて考えて調子に乗りまくりです。この辺では1kmごとの距離表示が思ってるよりも早く過ぎていく感覚がありました。しかし、このレースは過酷なことで有名な道マラ。なかなか思ったように行かないのが夏のフルマラソンの怖さです。実際このあとは過酷な現実が待ってました…。
さて、このあたりではすでに新川通りに入ってますが、この新川通りは道マラの名物と言われてます。その理由は、長~~い直線道路であること。片道6.5kmで折り返しのある往復コースで、道マラの中ではここだけ先を走るランナーや後続のランナーとすれ違います。区間でいえば19km~32kmの辺り。ある意味フルマラソンで一番重要でしかもツライところで、このはてしない直線道路。カラダにもココロにも堪えます…。僕も23-4kmあたりで脚が重くなってきました(ついさっき調子に乗ったばかりなのに…)。去年悩まされた右足首の痛さも感じ始めてます。「え~あと20km近く走らないといけないのに~」なんて思ってたところに、折り返してきた先頭ランナーとすれ違います。「この人たちはあと10kmちょい走ればいいんだよな~あと40分ほどでゴールできるんだよな~いいな~こちらはまだ1時間半も走らないといけない…」と勝手にエリートランナー達を羨んだりしました。なんとか我慢しながら走って折り返しに到着。ポールをぐるりと回って「新川通りもあと半分だ!」と思った瞬間悲劇が…。
なんと、進行方向が反転した瞬間、強い向かい風が襲ってきました。「なんでここで向かい風…。さっきのペースアップは追い風のおかげだったんだ…。」とさらに気持ちが凹みます。でも、「あと15kmほど走れば冷たい生ビールが待っている!」と何とかムリヤリ気持ちを奮い立たせ、重くなってきた脚をだましだまし動かしながら前に進みます。集団があればその中に入って少しでも風の影響を受けないようにしますが、みんな僕よりもさらに辛そう…知らず知らず僕が前に出て風をもろに受ける羽目になりました。ちょうど同じくらいのペースで走ってる女性ランナーもいましたが、さすがに女性を風よけにして走るなんてみっともないことはできません…女性ランナーの風よけになろうとさらに前に出てやせ我慢をしてもみましたが、徐々にペースダウン。28-29kmは1km4分45秒~50秒くらいにまでラップが落ちました。気持ちがポッキリと折れかけたときに思わぬ出来事が…。
すれ違っている後続のランナーの中から、「吉野君、リベンジ!!」という声が聞こえました。スタート前に偶然出会ったNさんからの思いがけない声援です。白のピンクリボンジャージは割と目立つので、走ってる彼女からも認識できたのだと思いますが、彼女も辛い中、大きな声で応援してくれたのは、とっても嬉しかった!(僕は声を出す元気もなくて弱々しく手を振っただけでしたが…)。この声援はかなり励みになりました。気を取り直して、30km地点で患者さんからの差し入れパワージェルを摂取。二人の女性から強く背中を押されるような感じで、それまで重たかった脚も少し軽くなりラップも回復。新川通りを抜け35km地点を通過。逆風の中、30-35kmは23分16秒でカバー。スタート前の偶然の出会いが折れかけた僕のココロを助けてくれました!
ところが、さらにまたアクシデント。これ以上ペースアップできる余力はないので、まずはこのペースで走りきるぞ、と思いながら、35km過ぎの給水ポイントでドリンクを取ろうとスピードをゆるめた瞬間、右のハムストリングがピクっと痙攣…転倒しそうになるところを寸前でこらえましたが、こんなところが攣るのは今までになかったこと。初めての経験にかなり戸惑いました。やはり知らず知らずのうちに脚に負担がかかっていたようです。あと7km、ここで作戦変更。3時間20分の目標タイムにまで貯金が少しあるので、1km5分程度にペースを落として完走狙いに切り替えました(3時間15分のタイムは新川通りの折り返しの逆風でとっくにあきらめてます)。
そのあとはまさに試練…。重くて動かない脚を引きずるように前に出してもがきます。さっきはあんなに早く過ぎて行った1km毎の距離表示が、今はなかなか見えてこない。それでも、「3時間20分を切っておいしい生ビールを飲むんだ(!?)」と自分自身を叱咤激励しながらもがき続け、北大キャンパスに入ります。でもキャンパスの風情を感じる余裕もなくひたすら距離表示を追い求めてもがきます。ゴールまであと2km、タイムは3時間9分20秒!何とかこのままで行くぞ!。北大キャンパスを抜けたらあと1km!タイムは3時間14分35秒!1km5分で行けば目標達成と最後の力を振り絞ります。北海道庁の赤レンガを過ぎればあと600m、ここで地元のラン友さんが写真を撮って下さってたのですが、もう全く気付きませんでした。あとで写真を見ると周りのランナーに比べて全く足が上がってない…。そうとう脚に来てました。交差点を右折して大通公園に入るとゴールが見えてきました!がんばってラストスパート(らしきもの)をかけてもがいてゴール!! ネットタイム3時間19分21秒、何とか3時間20分を切って自己ベストを達成です!
ゴール後は、心肺は元気でしたが脚はフラフラ。スタッフの方からドリンクをもらい、フィニッシャーズタオルと完走メダルをかけてもらったところで、あ、そういえば去年はリタイアしてこれをもらえなかったことをふと思い出しました。あまり感激はしなかったですが…。完走証を受け取って、公式記録でもちゃんと3時間20分を切っていることを確認。よろよろと歩いて荷物置き場に向かいましたが、これの遠いこと…途中で何回かストレッチしながらやっとのことで荷物置き場について自分の荷物をGET。すぐそばに売店があったのでようやく生ビールにありつけました!
生ビールを飲みつつ完走証を見ながらレースを総括。35kmまではばっちり1km4分40秒を守れましたが、35km以降のペースダウンが残念…。20-25kmの追い風で稼いだ貯金のおかげで3時間20分を切れた感じです。やはり課題は脚のスタミナ不足。練習を振り返ってみれば、この3ヶ月に30km走をやったのは3回…。11月の金沢マラソンに向けて、もう少しロング走を取り入れたトレーニングを考えてみます。気にしていた暑さはそれほどでもなく、結局昼になって曇ってきたおかげで気温はほとんど上がらず、ずっと21-22℃だったので、今回は近年になく走りやすい道マラだったようです。
最後に、今年の道マラ、とっても気持ちよく走れました。沿道の応援が本当に素晴らしくて、すごい励みになりました。ピンクリボンウエアを着ていたら、時々沿道の方から「あ、ピンクリボンだ!」という声が聞かれました。乳がん克服のシンボル、「ピンクリボン」が少しずつ世間のみなさんに浸透しているんだと思います。これからもピンクリボンとともに疾走り続けます!